年月を経て強くなる木。
鉄やコンクリートのような材料は、新しいときが一番強く、年月を経ることで徐々に劣化が進み、強度が落ちていきます。一説によると、酸性雨などの影響により、日本のコンクリートの建物の寿命は40〜50年ともいわれています。
一方、日本には正倉院や法隆寺など1000年以上の年月を経た木造建築が存在します。
これはなぜでしょうか?
伐採された木材は、ある期間までは時間の経過とともに、強度を増すといわれています。これは木の組織である「セルロースの結晶化」と関係しています。つまり、木が伐採されると時間の経過とともに「セルロースの結晶化」が進み、木は硬く強くなっていきます。例えば、檜は伐採後の200年で2〜3割ほど強度が増し、その後1000年かけて徐々に強度が弱くなるというデータもあるのです。1000年経ってもその強度が伐採当初を下回ることがないとは、驚きです。